【マメクワガタ】
Figulus punctatus Waterhouse,1873 |
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和名
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学名
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| Figulus punctatus Waterhouse,1873 |
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体長
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| ♂：8.0mm〜12.0mm ♀：8.0mm〜12.0mm |
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分布
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| 本州（山口県、紀伊半島沿岸部）、沼島（兵庫県）、四国（南部沿岸部）、沖の島（高知県）、鹿島（愛媛県南宇和郡）、二神島（愛媛県松山市）、九州沿岸部、女島（福岡県北九州市）、高島（佐賀県唐津市）、加部島（佐賀県東松浦郡）、伊豆諸島（神津島、三宅島、御蔵島、八丈島？）、対馬、五島列島、平戸島、男女群島、天草諸島（下島）、屋久島、馬毛島、口永良部島、竹島、黒島、宇治向島？、吐喝喇列島（口之島、中之島、平島、臥蛇島、悪石島）、奄美大島、与路島、徳之島、沖縄本島、伊平屋島、石垣島、西表島？、台湾 |
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形態
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| 成虫♂ |
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全身黒色で光沢がある。
チビクワガタに似ているが、平均的にやや小型でほっそりした感じがする。
前胸背板はやや横長の方形で、側縁はほぼ平行。側縁中央より後方には小さなギザギザがある。ほぼ全面に粗い点刻があるが、中央にある縦溝の両側少しのみ点刻がなく光沢がある。中央の縦溝はチビクワガタよりも太く長い。
上翅にはくっきりしたスジがある。
頭部中央は大きく窪み、粗い点刻を散布し、両複眼間に二つの突起がある。
眼縁突起は複眼に沿うように前方へ狭まったあと、複眼よりも前で角ばってオオアゴ根元に向かって狭まる。
頭楯は横長で中央が浅く湾入し、中央付近に２本の小さな突起があるが、顕微鏡でないと見えないほど細かいので、全体としては横長の方形に見える。
オオアゴは小さく、中央かやや根元寄りに１本の小歯を持つ。体の大きさの違いによる変異は全くない。 |
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| 成虫♀ |
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♂と非常に良く似ており、大きさも同じ。
チビクワガタ以上に雌雄の形態差は少なく、外見で判別するのは不可能。
正確に判別するには交尾器を調べる必要がある。 |
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| 幼虫 |
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とても体が細長く、特徴的な体型をしている。
チビクワガタ属５種の幼虫は互いに非常に良く似ていて見分けが付かない。大きさや生息環境から判断する他ない。
３令幼虫には割とハッキリ♀斑が出るので、♂♀の判別はしやすい。
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生態
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南方系の種で、黒潮に沿った島嶼や沿岸部の広葉樹林に棲息している。チビクワガタとは内陸部と沿岸部でしっかり棲み分けをしており、混生地はほとんど無い。カシ、シイなどの朽ち木、倒木等の中から年間を通じて見つかり、材の中に坑道を掘って集団で居ることが多い。やや水分の少ない白枯れの堅い材に多いが、柔らかめの材や、黒枯れのボロボロの材にも入っている。
動物性の餌を好み、材中でミミズや他の昆虫などを捕食しているらしい。チビクワガタよりも肉食性が強いようで、チビクワガタと一緒に飼育するとマメクワガタしか残らない。
意外と飛翔性が高く、灯火にも飛来する。
幼虫は成虫と同じ材から一緒に見つかることが多く、樹皮の直下に居ることが多い。マットの詰まった5〜10cmくらいの部屋に幼虫が集団で居ることもある。家族単位で暮らし、成虫が材を噛み砕いて幼虫の餌を生産するという亜社会性生活を営む。
幼虫期間はチビクワガタより長く３〜４ヶ月程。遅くに産まれた個体は幼虫で越冬するため、年間を通じて見つかる。
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寿命
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採集
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【難易度】 ★★★☆☆
南西諸島から伊豆諸島まで、黒潮に沿った島嶼、沿岸部など海岸沿いに分布しているが、九州以外ではかなり局地的。本州では紀伊半島と山口県の沿岸部、四国では南部沿岸部と瀬戸内海の島嶼、九州では西部〜南部の沿岸部と周辺島嶼などに分布している。鹿児島県の佐多岬、九州の周辺島嶼、伊豆諸島の三宅島、御蔵島には比較的個体数が多い。八丈島では島の南側での記録１件のみ。西表島は正式な記録は無いが居るには居るらしい。
海岸沿いの広葉樹林に棲息し、幼虫、成虫共にカシ、シイ類の朽ち木、倒木等の中から年間を通じて見つかる。やや水分の少ない白枯れの堅い材に多いが、柔らかめの材や、黒枯れのボロボロの材にも入っている。
幼虫は成虫と同じ材から一緒に見つかることが多く、樹皮の直下に居ることが多い。マットの詰まった5〜10cmくらいの部屋に幼虫が集団で居ることもある。
ほとんど樹液に来ないので採集は材割りが主となるが、灯火にも飛来するので灯火採集も可能。 |
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飼育
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| 成虫飼育 |
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【難易度】 ★★☆☆☆
丈夫で乾燥にも比較的強く、飼育は簡単。
ケースにマットをたくさん入れてやると、マットの中にアリの巣のような坑道を掘って、その中で生活する様子が見られる。
雌雄の判別が難しいため、繁殖させようと思うならある程度の数をまとめて飼う必要があるが、肉食性が強いため、まとめてたくさん飼うと共食いをするおそれがある。ただ、餌さえ充分ならそう共食いはおきないようなので、それほど気にする必要はない。一応１ケースに１０頭程度に留めておくといい。
餌はドッグフード、キャットフード、魚肉ソーセージなど。昆虫ゼリーも食べるがあまり好みではないらしい。
動物性の餌はすぐに腐るので、こまめに替えること。 |
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| 産卵 |
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【難易度】 ★★☆☆☆
マットは腐朽の進んだものを使って少し固めに詰め、やや堅めのしっかりした産卵材をマットに埋め込む。
水分量は普通。温度は常温でかまわない。
主に材とマットの境目に産卵する。 |
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| 幼虫飼育 |
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【難易度】 ★☆☆☆☆
成虫は肉食性が強く、産卵セットのまま放っておくと共食いする可能性があるのと、成虫は結構長生きなので、親子が混ざってしまうのを防ぐ意味で、幼虫は別に分けた方がいい。成虫が幼虫の世話をすると言われているが、成虫と分けても全く問題なく成長する。
3令幼虫には割とはっきりと♀斑が出るので、幼虫のうちに♂♀を分けておくと後の管理が楽。
普通の醗酵マットで問題なく育ち、1頭あたり100mlもあれば充分。♂と♀に分けてまとめ飼いしてもいい。
チビクワガタよりも幼虫期間が長く、羽化まで半年ほどかかる。 |
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亜種
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他種との識別
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本種はオオアゴが小さく前胸背板が四角い等、他属のクワガタとは区別しやすいので、ここでは分布の重なる種の中で最も似ているチビクワガタ及び比較的間違いやすいと思われるその他の小型種との識別点を示すことにする。
ちなみに、同じように朽ち木に入っていてパッと見似ているゴミムシダマシ類とは、クワガタムシの特徴の一つである「触覚第１節が長く、触覚が"く"の字に折れ曲がる」という特徴を本種も持っているので、そこで区別できる。
【チビクワガタ】
♂♀ほぼ同形。マメクワガタと非常によく似ている。前胸背板の点刻が少なく光沢があること、前胸背板側縁後部にギザギザがないこと、頭楯の形（M字型で２本の突起状に見える）等で区別できるが、小さいのでかなり拡大して見ないとよく分からない。マメクワガタに比べて平均的に大型で、オオアゴはやや長く、上翅と前胸はやや短く寸詰まり。
>>チビクワガタ・マメクワガタ比較
【ルイスツノヒョウタンクワガタ】
♂♀ほぼ同形。マメクワガタと似ているが、オオアゴの付け根外側に上向きのツノがあり、特徴的な形をしているため区別は容易。
【ネブトクワガタ】
♂はオオクワガタに似たオオアゴを持ち、根元近くに１対と、やや根元寄りに１対の内歯がある。♀は上翅にスジブトヒラタのような太くはっきりとしたスジがあり、オオアゴは先端が幅広の三角形になる特徴的な形をしている。
【スジクワガタ】
コクワガタに似ている。♂♀共に全体に光沢があまりない。♂は大型個体ではオオアゴの内歯が２対あり、鍵のような形になっている。小型個体では内歯が１対になり、上翅にハッキリとした細く浅いスジが現れる。♀も上翅にハッキリした細いスジがある。
【オニクワガタ】
♂♀共にやや光沢があり、上翅にスジはない。♂のオオアゴは短く鋸歯状で上向きに湾曲する。♀のオオアゴは鋭く、内側に強く湾曲している。
ブナ帯に生息しており、低地（沿岸部）に生息するマメクワガタとは分布が重ならない。
【ツヤハダクワガタ】
♂♀共に体全体が円筒状でお尻が大きい独特の体型をしており、全身に強い光沢があり、上翅にはくっきりとしたスジがある。♂のオオアゴは太短く、湾曲して先は鋭く尖り、根元近く〜中央付近に１対の太い内歯がある。♀はお尻が大きく頭が小さいため、前方に向かって細まっているように見える。ブナ帯に生息しており、低地（沿岸部）に生息するマメクワガタとは分布が重ならない。 |
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Photo
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メモ
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| ちっこくて地味な上に局所的な分布をしているマニアックなクワガタ。 |
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